「ANSWER の W はどこだっけ?」そう問うてきたのはアメリカ人でした。英語のネイティブです。「え?」最初はちょっと戸惑いました。でも確かに、「アンサー」のどこにも「W」の姿はありません。
「答え」を意味する answer のスペルには「W」の文字がありますが、その発音(/ˈæn.sɚ/)に「W」の音はありません。
単語の中にひそむ沈黙のアルファベットを英語では silent letters と言います。「黙字」と呼ぶこともありますが、「サイレントレター」のほうが通りが良いかもしれません。
ANSWER のケースのように、スペルにはあるが発音しない W は「サイレントW」です。アメリカの高校の国語(英語)の教科書には、サイレント W の例として sword が載っていました。「剣」を意味する sword の発音は /sɔːrd/(ソード)ですが、確かに「スウォード」っぽく発音する生徒もいたように覚えています。
write、wrong、wrist の W も発音しないサイレント W です。
実は、英語には W に限らず、サイレントレターがたくさんあります。
たとえば、親指、子羊、借金は、それぞれ thumb、lamb、debt ですが、場所にかかわらず、「b」は発音しません。サイレント B です。
水曜日を意味する Wednesday。一番目の「d」はどこだっけ?と、初めのうちはちょっと考えてしまうこともありました。
そしておそらく、もっとも馴染みのあるサイレントレターは「kn」で始まる単語の「k」ではないでしょうか。know、knock、knight、knee などなど。ちなみに、クノールスープのクノールは knorr ですが、英語では頭の「k」を発音しません。ノールスープです。
心理学を意味する psychology は「プシチョロジー」って覚えませんでした? 肺炎を表す pneumonia の「p」もサイレント。「ニューモニア」です。実は「ラズベリー」にも「p」が入っているんですよ。raspberry です。悩ましいですよね。
おしまいにもうひとつ。yacht、読めますか? 「ヨット」です。yot にしてくれたら日本人にとっては楽ちんなんですけどね。残念。
Google で「silent letters」を検索すると、解説や一覧がたくさん出てきます。興味と時間のある人はぜひチェックしてみてね。
今回はこのへんで。ごきげんよう。
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