エンデミックというと「パンデミックと関係のあるアレか?」と思われるかもしれませんが、残念! 今回ご紹介する endemic は感染症や伝染病とはなんの関係もありません。どちらかというとビジネス寄りのお話、広告とかマーケティング方面の業界用語です。
日常会話で使う言葉ではないので、ここで回れ右!でもOKですよ。お時間のある方、興味のある方は、しばらくお付き合いくださいませ。
私は広告やマーケティング関連の翻訳のお仕事をしているのですが、最近、特にeスポーツ関連の記事で、endemic sponsor、endemic advertising、endemic brand のような言葉をよく見かけるようになりました。
では「エンデミックなスポンサー」ってなんですか?
たとえば、eスポーツの大会を開くとします。経費や賞金に莫大なお金がかかるので、スポンサーが必要になります。
このような大会のスポンサーは、伝統的に、ゲームやパソコンやゲーム機のメーカー、あるいはゲーミングチェアのような周辺機器のメーカーなど、ゲームやeスポーツに直接関わる企業が務めてきました。このような企業が「エンデミックなスポンサー」です。たとえば、インテルやMSI、最近、アクティヴィジョンブリザードの買収で世間を沸かせたマイクロソフトなどはエンデミックなスポンサーに分類されるでしょう。
一方、世界中でeスポーツの競技人口が増えるにともない、ゲームとは無関係の企業、たとえば、飲料メーカーや食品メーカー、製薬会社やアパレル企業などもeスポーツの協賛に名乗りを上げるようになりました。このようなスポンサーは non-endemic sponsors、「ノンエンデミック(非エンデミック)なスポンサー」です。
もちろん、ゲーム業界に限った話ではありません。モトクロスの大会でホンダがスポンサーにつけば、ホンダはエンデミックなスポンサーです。コカコーラがスポンサーにつけば、コカコーラはノンエンデミックなスポンサーです。ペプシやマクドナルドもノンエンデミックです。
ところで、eコマース大手のアマゾンにも、endemic brands と non-endemic brands が存在します。
アマゾンにおける「エンデミックなブランド」とは、アマゾンで商品を販売し、かつ、アマゾンに商品の広告を出稿する企業をいいます。
少し前にアマゾンでエスプレッソメーカーを購入したのですが、このメーカーはアマゾンに出品する小売事業者であると同時に、アマゾンに出稿する広告主でもあります。つまり「エンデミックなブランド」です。
一方、アマゾンの広告部門では、「アマゾンで商品を販売していないブランド」、たとえば、航空会社やレストランへの広告販売に注力しています。アマゾンにとって、このような企業は「ノンエンデミックなブランド」です。
この意味での endemic が一般的に使われるようになるかはちょっと微妙ですが、業界用語としてはけっこう普通に使われるようになるのでは?と考えています。
ちょっと長くなりました。最後まで読んでくれてありがとう。おつかれさまでした。
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